Last Updated on 2024年5月18日 by Dai Ando
「なんで僕はわざわざ海外で生きているんだろう?」
実はこれ、毎日のように考える疑問です。
自分で選んでメルボルンに住んでいるくせに、日本への一時帰国が毎回すごく楽しみ。
なんなら「日本一時帰国」を目標に日々頑張っているような気すらしています笑。
- 親兄弟、旧来の友人達とのキャッチアップ
- 慣れ親しんだ美味しい食べ物
- コツコツリストアップしてた気になる居酒屋巡り
- ウォシュレットの付いた綺麗なトイレ
書いてるだけでワクワクしてきます!!
(今は子供が小さいので、一時帰国中の自由はほとんどなくなり以前ほどは楽しめなくなりましたが…)
こんなこと書いていると
「だったらなんで日本に住まないの!?」
って思いますよね。
自分でもそう思います。
オーストラリアでは
- 言葉もまだまだ不自由(永遠の課題)
- 親兄弟はいない
- 旧来の友人もいない
- 慣れ親しんだ日本食も気軽に口に出来ない(日本のようにちゃんとした日本食はなかなかないのです><)
- 物価は高い
- 日本のような高レベルのサービスは全く期待できない
- 子育てしようにも、自分がここで育っていないので右も左も分からない
それでもなぜオーストラリアに住むことを辞めないのか。
移住後丸8年が経過した今、ようやく文字にできそうな気がしたので書いてみたいと思います。
永住を決めた「3つの要素」
永住を決めた理由はいくつかあって、特に大切にしたのは以下の3つの要素です。
- ワークライフバランスが良い(歯科医師として働いた時の満足度が高い)
- 子供の未来の可能性が広がりそう
- 人生のどこかで思い出に残るような冒険/挑戦をしたいという好奇心を満たしてくれる(夢への挑戦)
これらを総合すると「オーストラリアに移住した方が僕たち家族がより幸せな人生が送れる可能性が高いだろう」と感じ移住を決意しました。
今回はこの「3つの要素」のうちの1つ目、
ワークライフバランスが良い(歯科医師として働いた時の満足度が高い)
について書きたいと思います。
「ワークライフバランスが良い」ってどういうこと?
一般的に「ワークライフバランスが良い」と聞くと「残業等が少ないので家族との時間が多く取れる」、つまり「時間のバランス」に焦点が置かれがちではないでしょうか。
もちろんその通りで「時間のバランス」はとても大切なポイントです。
ただ、「時間のバランスを改善する」ためには「これまでよりも短い労働時間の中で効率良く収入を得る」ことが必要になります。
少しだけ僕の話をさせてください。
こちらに来て家族との時間は爆発的に増えました。
と言うよりも
「仕事の時間を減らしても生活できることが分かったので仕事を減らした」のです。
- 日本では週5勤務
- そのうち2日は20時半まで仕事
- 残り3日は17時まで診療でしたが、管理者は診療終了後に経営や学術に関する様々な会議が予定され、結局8時半
- 1件の更新が利用できます遅い日は22時を回ることもしょっちゅう
- なので17時過ぎに終わる日なんて月に何回かあるかないか
- 長期の休みは年に2回、1週間ずつ
僕たち日本人の感覚からしたら悪くないと言いますか、割と恵まれた環境だったとは思います。
- 今オーストラリアでは週4勤務
- 朝の8時半から17時までで残業はほぼなし
- カルテ記載や紹介状、技工指示書や模型の整理が多い日でもせいぜい18時
- 会議もゼロ
- それでも仕事は割と問題なく回る
- 子供達が夕食食べているくらいには何とか家に帰れて、寝かしつけにも毎日関われる笑
- 長期の休みは年に2回、それぞれ約3週間ちょっと
どうでしょう?
余談ですが、
この記事を書いていたのは年末年始の休みの真っ最中でした。
- 通常長期休暇の時は日本に帰ることが多いのですが、
- 3週間あっても土日はその間に2回くらいしかなく、
- 日本で友人や家族とキャッチアップできるのもその2回の週末(実質4日!)しかありません。
- なので長いようで割と短く感じます。
- でも、どこも行かずにこれだけ休むと本当に長いです。
- 子供も休みなのでずっと一緒です笑。
- 2週間以上休んでもまだ1週間以上休みがあるので「社会人として本当にこれでいいのか!?」と不安や罪悪感を超えて恐怖感すらあります。
話はズレましたが、
僕の場合、オーストラリアでの生活の方が「仕事と家族との生活の時間のバランスが良い」ことが分かっていただけると思います。
では、どうしてオーストラリアでは時間のバランスを改善することが可能なのでしょうか?
- 実はこちらでも週5勤務することも週6勤務することも可能です。
- そうすることで額面上の収入も今の更に25%~50%増しになります。
- でもこちらで仕事をしてみて、勤務時間を週4に減らしても収入が「日本の時の倍近く」あることが分かったのです。
- そしてこれ以上頑張っても税金ばかりが増えることも分かりました笑。
もちろん生活費も高いので、手残りが倍になる訳ではないのですが、
小さな子供(6歳と2歳)がいる今の時期に子育てに関われる時間が増やせるのは本当に素晴らしいと感じました。
もし日本時代の生活リズムのまま子育てをしていたら
ほぼ妻のワンオペになってしまい、僕が子育てに関わる時間は激減してしまっていたでしょう。
何故なら日本は夜遅くまでサービスが提供されることが当たり前となっているからです。
- 歯科クリニックとして夜8時までの診療は、そこまで遅い部類ではありません。
- もっと遅くまで開いているクリニックはいくらでもあります。
- それでも普段仕事をしている患者さんにとっては重宝されていました。
- そして僕たち働く側も残業をすることで追加の収入を得ることができました。
- 僕の場合は額にすると月に+12万円ちょいくらいでしたでしょうか。
- この残業代が馬鹿に出来なくて、割と「あて」にして人生計画を立てています。
もし職場が「ワークライフバランスを改善しましょう!!」と残業をなくしてしまうと、同時に収入も減ってしまい、それもまた困ってしまうのです。
日本でワークライフバランスを改善するには「何かに突出している」必要がある。
他の業界と同様に日本の歯科業界も競争が激しいので「9時~17時の営業で生き残る」には「何かに突出している」必要があると思います。
患者さんにとって「そのクリニックでなくてはならない理由」のようなものが。
それは
- 腕の良さ
- 接遇
- 価格
- 相性
- (もしかしたら)端麗な容姿
かもしれません。
- そもそも突出している人ですら長時間労働をしている業界だったりしますので、なかなか生き残るのが大変な環境です。
- そんな業界に何の戦略もなく「9時~17時の営業」で飛び込めば周囲との競争に勝てず徐々に廃れてしまうでしょう。
自分も含め「突出した何か」を持っていない大半の人たちにとっては残業(17時以降の仕事)をすることでそれが「1つの武器」となり、需要と供給のバランスが整うのです。
いや、むしろそうすることでようやく同じ土俵に立てるのかもしれません。
オーストラリアは違うの?
- 正直、オーストラリアも長い目で見たら日本と同じような長時間労働の方向に向かっています。
- でもまだまだ仕事を時間内に終わらせる文化が強く根付いているように感じます。
- 残業や長時間労働は非常に少ないです。
- 患者は緊急以外では19時以降に歯科の治療を受けられるなんて考えもしないでしょうし、僕らもそんな時間まで仕事することは考えられません。
- 治療を受けたかったら仕事を休んででも受けなさい。そんな雰囲気なのです。
- だから皆仕事を休んで通院します。
- クリニックもメディカルサティフィケート(受診証明書)を発行して患者の来院を証明します。
- これを実現するために通常の職場は休みやすい環境になっています。
サービスを利用する側としては不便かもしれません。
でも実はこの「不便さ」が「ワークライフバランスを守る鍵」。
- 自分は9時~17時の仕事
- そしてみんなも同じ
- だから17時以降に受けられるサービスは少ない
- よって仕事を休んでサービスを受ける必要がある
- それを実現するために職場は休みやすい
このようにして「長時間労働をする人がいなくてもサービスが受けられる環境」が保たれています。
- でも長時間労働をしないのに生活を保つためには「定時の勤務でそれなりの給料」をもらわないといけません。
- つまり「時間あたりの単価を上げる」必要がありました。
- 裏返せば「自分が何かのサービスを受ける時の費用は高くなる」のです。
奇妙に感じるかもしれませんが
「営業時間は不便なままサービスの値段を上げることでワークライフバランスが保たれている」のです。
- こちらに来たばかりの頃は不便さばかりが目に付きました。
- でもしばらく住んでいると「これは自分たちの環境を守るために意図的に不便にされているのだ」と理解できました。
- サービスに見合わない(と僕ら日本人は感じる)高い費用も同様の理由で今は理解できます。(納得できない時は多々ありますが笑)
- 言い換えると「安くて便利なサービスを求める」と自分も「安い給料で長時間労働を強いられる」ようになるのです。
この点で僕はオーストラリアの生活が気に入りました。
同じ理由で「歯科医師としての仕事は日本にいる時よりも高く評価」されます。
とは言っても実は「国際的には標準価格」だったりしますが…。
僕は「日本の歯科保険診療はその内容に見合わない評価をされている」とずっと不満に思っていたので、こちらの評価は妥当だと感じました。
- どの国で治療をしようとも、医療従事者としてそれぞれの治療に対する責任は重いはずです。
- でもそれは人の体を預かる以上当たり前のことでしょう。
- ただ、責任を持った治療をするためにはそれなりの環境や時間が必要で、それを整えるためには費用がかかります。
- サービスの費用が高く設定されているオーストラリアでは、日本と比較して良い治療をしやすい環境や時間のゆとりを手に入れやすいと強く感じています。
- 費用が高い分、期待値も高いはずですので、一つ一つの治療へのプレッシャーもかなり高いですが、これまで培ってきた経験や知識を最大限に生かすことが出来るのは歓びでもあります。
全ての治療を写真に撮り、Before/Afterを患者さんに見てもらう。
例えば、オーストラリアで歯科治療をするようになってから毎回必ず写真を撮るようになりました。
初めは自分のつたない英語を補うために始めた苦肉の策でしたが、それがとても評判がいいのです^^。
- 「これ同じ歯なの!?」
- 「あんた最高だよ!!ありがとう!!!」
こんな患者さんの反応が嬉しくて今では働くモチベーションになっています。
- 写真で見てもらうからには綺麗に治したいので気合が入ります。
- ステップ毎に写真を撮るには時間がかかります。
- 写真撮影も治療時間にゆとりが持てるから出来ることだったりします。
- 日本にいる時も撮ってはいましたが、毎回は時間的に無理でした。
- これを何度も何度も繰り返していると無言の信頼につながります。
- すると患者さんは自分の家族や親戚をみんな連れて来てくれるようになります。
- 患者数が増えて予約が取りにくくなり「自分はこの国で受け入れてもらえた!」と日々実感します。
- これが異国で生きる活力につながります。
- たとえ仕事外の時に差別されたって(僕は経験ないですが…いや気が付かない程に鈍いだけかも…)「この国で自分には価値がある!」と分かっているので弾き返せます。
- 異国で生き抜いている事実。その結果として得た「歯科医師としての自信」。
- そしてこのワークライフバランス。
- 3週間休むなんて正直暇でしたが、それが普通の世界があって、それを経験できたのは一度きりの人生として悪くない。
- 今後もこのワークライフバランスを維持できるのであれば、色々と大変なこっちの生活も悪くない!
- そしてとても大事なことですが、家族との時間が持てることで「夫婦の関係」もよりバランスよくいい関係を保てると思います。
日本の美味しいご飯や家族友人との時間は何事にも代え難いですが、これが今僕がまだオーストラリアに住んでいる理由の1つです。
いつまでも消えない親への罪悪感
この移住に関して父とは色々揉めました。
勘当問題にまで発展しましたが、最終的には理解してくれました。
そんな今でも「お前は国を捨てた。親を捨てた。」と冗談っぽく言いますが、半分本気です。
僕としてはそんなつもりは毛頭ないのですが、言われるとツライ一言ではあります。
僕としては日本を捨てたつもりはなく、県を超えて引っ越したのに毛が生えたくらいだと思っています。きっと昔なら「お前は村を捨てた」と言われただろうし、未来には「お前は地球を捨てた」「銀河系を捨てた」と言われることでしょう。
これは僕が一生背負う業。
家族を大事に生活して子供の世代に何かを残すことでバランスを取るしか僕にはできることはない、と思っています。
言い換えれば、もし子供がいなかったら移住してなかったかもしれません。
仕事柄、沢山の先輩移住者とお話しする機会がありますが、皆さんそれぞれ同じような思いを抱えて生きているのだなと思いました。
皆さん100%手放しで「移住は素晴らしい!!!」と思って暮らしている訳ではなく、割と僅差で移住を選んでいます。
ちなみにメルボルンでも頑張ればこんなご飯が自宅で食べれます^^。
↑いくらとウニです^^。
まとめ
「日本大好きなのに何故オーストラリアに住み続けるのか?理由1:ワークライフバランスが良い」
自分が日本に居た時はなかなか見えなかった「違い」を書いてみましたがいかがでしたでしょうか?
こうやって振り返ってみると、海外暮らしは色々と不便はあるけれど、「仕事における満足度が高いこの環境が好きなのだな」と改めて気が付きました。
まとめますと
1、日本にいる時よりも「自己肯定感」=「自分の経験、技術、知識に価値を感じてくれている」と感じることができる!
2、その根底にあるワークライフバランスは「営業時間は不便なままサービスの値段を上げる」ことで保たれている!
注:必ずしも値段が高い=質が高いというわけではないので、そこは要注意(笑)。
奇妙な感じがするかもしれませんが、これが8年住んだ僕の雑感です。
これから移住を考えていらっしゃる方の参考になれば幸いです^^。
次回は以下の残り2つ
2, 子供の未来の可能性が広がりそう
3, 人生のどこかで思い出に残るような冒険/挑戦をしたいという好奇心を満たしてくれる(夢への挑戦)
について書きたいと思います^^。
何かご質問やご感想ありましたらいつでもお待ちしております^^。
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では失礼します。
安藤 大
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