Last Updated on 2020年1月2日 by Dai Ando
厳選おすすめ本、第2冊目は
『「日本人」をやめられますか』杉本良夫(1996) 朝日文庫. です。
もう中古でしか手に入らないのですが…。
今もなお読み返す奥深い本なので、だいぶ年季が入っています^^。
海外移住を悩んでいた39歳の時に出会った本なのですが、
日本を離れることを深く考察。知らなかった海外移住者の生活/思考が細かく描写され、日本を出る勇気を鼓舞してくれた本です。
こんな方におすすめ!
- 海外移住をお考えの方(特に色々としがらみの多い30代以上の方)
- 日本での生活に違和感を感じている方
- 日本を客観的に視てみたい方
- オーストラリアでの生活について知りたい方
- このブログの記事に違和感が少ない方
出会いはAPLaC
メルボルン行きを悩んでいた時に出会った”APLaC“(Association for Pluralistic Life and Culture=多元生活文化研究会)というブログの、おすすめ本コーナーでこの本のことを知りました。
このブログ運営者の田村さんは、
- 日本で弁護士をされていたのですが、
- 色々と思うことあり”エイッ!!”っと日本を飛び出し、
- 現在シドニーにて、
- 恐らく20年以上に渡り、
- 僕らのような迷える子羊の手助けをしてくれている、
- 稀有なお方です。
悩んでいた当時は、悩みのキーワードをGoogle検索する度に、かなりの確率で田村さんのAPLaCにヒットし、
この人、只者ではない!!僕の悩みが全てバレている!!
と毎回驚愕したものでした。
田村さんとAPLaCのことは改めて別の記事で紹介しようと思っているので、ここではあまり掘り下げませんが、
- 日本を出たい/海外移住したいと思っている方必読の、
- 分厚い情報がみっちりと詰まった、
- 辞書のようなブログです。
当時、40歳を目前に仕事を辞めて、メルボルンで歯科医師免許取得+あわよくば永住権/海外移住、というあてのない挑戦に踏み込もうとしていた僕は、あらゆる方面から反対の意見を頂きました。
田村さんはそんな中で肯定してくれた”数少ないお方”の一人。むしろ、
チャレンジというより全然普通のことです。
と、当たり前のことのように扱ってくれました。
こういう言葉が欲しかったのです。
心に響いた記事は沢山ありますが
海外移住に向けて一歩踏み出そうと思ったきっかけはこの記事でした。
「海外」という選択(その2)~日本離脱の理由、現地永住の理由
30代も終わりに差し掛かっていた僕は、田村さんのブログとの出会いなしには日本を出られなかったと思います。
そして、この田村さんが日本を出るきっかけとなった本が、今回おすすめする杉本良夫さんの著書、『「日本人」をやめられますか』です。(僕の記憶が正しければ><)
著者の杉本良夫さんは
日本の社会学者・文化人類学者/オーストラリアのラトローブ大学名誉教授。
新聞記者を休職しアメリカにて大学院生となり、そこからシドニーに移住しラトローブ大学勤務。
現地での仕事/奥様との子育てを含めた生活を通じて得られた知見を、日本と緻密に比較/分析する知的ダイナミズムが非常に心地良い本です。
印象的だった部分を少し引用すると
大学院を終え日本に帰るか海外移住するか悩んでいる時、
それなら辞職して意志を貫徹しようかと考えはじめていたとき、私が襲われた恐怖感をいまも忘れることができない。
それにはいろんなしがらみがくっついていた。
ひとつには、なんといっても日本の職業構造から完全に切り離されてしまうことの恐ろしさである。
日本との関係をどうするかの問題に関しての項目にて、
日本社会の職業体系から離れようとするとき、いろいろな人が私に問いつめたのは、
「なぜ、何のために、非日本社会で永住することを選ぶのか」
という疑問だった。これはもちろんもっともな疑問だが、これを答える前に、私は質問者にたずねてみたい質問がある。それは、
「なぜ、何のために、あなたは日本社会で永住することを選んでいるのか」
という問いである。
僕はこれを読んで、やはり一度は日本を出なくてはいけない、と移住を心に決めました。
実は”越境人生応援ブログ”の”越境”という言葉はこの本からいただきました。
越境はもちろん「視察」ではない。何十回世界旅行に出かけても、何年海外留学しても、(日本の)国家利益を背負って海外生活を続ける人は、越境性からは縁遠い。
中略
近代日本の知性の主流は、青年時代の一時期、欧米に留学し、ある程度の語学力とある程度の外国についての知識を操ることができるようになって帰国したあと、そのことを売り物にして、日本社会の階段を昇りつめていくという人生行路を共有していた。
いまも、そういう計算の上で、海外留学を国内での昇進の踏み台と考えて、二年前後をメドに出かける学者の卵たちは数多い。
こういう人たちは、私の考える越境人間ではない。
杉本さんの考えるところの”越境人間”に僕はなりたいと思っていますし、越境人間になりたい方を応援する存在としてこのブログを育てたいと思っています。
田村さんと僕の二人が日本を出るきっかけとなったこの本、非常におすすめです^^。
Jump the border!!
追記
中古なので数に限りがありそうです。なので、もし手に入らなければ、杉本良夫(1993) ちくま文庫. も近い内容だと思います。 』
杉本良夫さんの本はその他に
- オーストラリア6000日
- オーストラリア ー多文化社会の選択ー
などなど、あるだけ全部読みましたが、根底にあるメッセージは共通するものがありますので、どの本を読んでも想いが伝わると思います。
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